第四章予告――終焉を司る神



教えてあげる。私が何のために優勝したいのか――


私は私から唯一の味方を奪った人たちに復讐するために這い上がる。
強くなって、そして味方を奪った「敵」を排除するの。
そのためなら人殺しさえためらわない。
私にとって邪魔なものはすべて殺す。ただ、それだけ。
このプログラムでより多くの経験をつんで強くなり、そして復讐への第一段階が終わる。
私は、アドルフ・ヒトラー。
この世に巣食う要らないモノを除去するために生れ落ちた
死と全能の神。

「死ね」

お前はただの化け物だ。神なんかじゃない。
俺が無力なのを知りながら、俺の大切な人を意図も簡単に奪っていく。
気付かない振りして、悲劇のヒロインだとでもいいたいのか?
冗談じゃない。もうネタは上がってるんだ。
お前が歩く道は、すべて腐食するに違いない。
だから俺が、この手でお前を殺してやる。
すべては、守るために……。

「化け物」

君の精神は不安定な位置にいる。ちょうどシーソーのように行ったり来たり。
ねぇ、あれが見える?
あのどす黒い東京湾も、行ったり来たりを繰り返して
まるで君の心みたいだね?
心の弱さは否定しない。強くなるための弱さも合ってもいい。
その強さを培うためなら、俺はどうなったってかまわない。
君には希望があるんだ。

「生きて」

友達なんて言葉、「ここ」にいる私には無縁のものだと思ってた。
一切手を汚さず優勝して、家に帰る。それが今でいるすべてのことのはず。
主観的に考えすぎて、つないでいた手を離してしまって
でもまた君は私の手をとってくれた。
目の前で笑う君。畏怖さえも感じていた君に
今はもっと素直になれそうな気がして。心の氷が解けた気がした。

「謝々」

クソみたいな人間に囲まれて育ったクソみたいな自分。
それを間違ったことだと教えてくれたのは、誰だったっけな。
ああ、確かお前だった気がする。けど、お前は誰だ?
何で自分は、幼馴染の亡骸抱えて泣いてるんだろう。
疑問符ばかりの自分には、もう信じられる人なんて誰もいない。
自分さえも、信じられなかった。

「誰も信じねえよ」

流血、死体、拳銃、プログラム。
人を殺すという感覚がしっとりと手にしみこんでいく。
愚かなり、人の快楽や欲望はとどまる事を知らないんだ。
だから俺は流れるままにすべてを求めていく。
俺という固体が飽きを感じるまでずっとずっと、人を殺していくんだろう。
それが、俺を満足させる唯一の方法。
さぁ、次の迷える子羊はどちらさま?

「イッツ ア ショーターイムッ☆」

この雨は、まるで君の心のように冷たくて、止む気配もない。
空を見上げれば、どす黒い雲が空を覆っていて
まるで顔をみせるのを拒んでいるようで。
俺は気象を操れるほどの能力はないし、君が言うように神でもないから
ただただ、君の心の雨が止むのを膝を抱えて待っていただけなんだ。
頑張らない俺への罰。もしも嘆くことが許されるなら
ただ一言、伝えたい。

「ごめん。守れなくて」

ガキの心って、なんて細かい網目状なんだろうと時々思う。
昨日こうだと思っていたら、今日はあんなふうに思っていたり
気まぐれというのか、多様性というのかすらも区別が付かない。
大人もたいしたバカばっかりだが、ガキもまたバカばっかりだ。
皆てめえの信念貫いて逝きやがった。
今ここにたたずむ俺は、信念すらないというのに。

「プログラム、終了」


嗚呼確かに幼い彼らはその信念を貫き通して散っていった。
しかしその花びらは、土に埋もれて芽を出すことはない。
花びらは、散ってしまったらあとは腐るだけなのだから。


OBR3 reason of being [存在理由] 
第四章開始。残り12人――。


生き残りをかけた信念の戦いが、幕を明ける。



「私が、神になる」




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